とても痛い尿管結石
前田 俊浩
(・苫小牧泌尿器科・循環器内科)
前田 俊浩
(・苫小牧泌尿器科・循環器内科)
尿管結石は、腎臓でつくられた結石が尿管(腎臓からぼうこうに尿を運ぶ管)に落ちてきたものです。結石が腎臓にあるときにはほとんど症状はありませんが、尿管に結石が詰まると痛みが生じます。
これは、尿の流れが結石によって妨げられ、腎臓が腫れることで起こります。そのため、尿管結石の位置にかかわらず、腎臓のある腰背部が痛くなります。痛みの程度は、救急車を呼ぶくらいの激痛から、違和感があるくらいの軽い痛みまでさまざまです。また、血尿が出たり、結石がぼうこうに近づいたりすると、頻尿や残尿感などの症状が出てくることもあります。
腎臓に結石ができる原因は、尿中のカルシウム・尿酸の過剰、水分不足、特定の疾患や薬剤などがありますが、多くの場合、原因ははっきりしません。女性より男性に多いことが分かっています。
尿管結石の診断は、レントゲン検査、CT(コンピューター断層撮影)で行われ、結石の位置、大きさを確認します。治療は、結石が6㍉以下の場合、自然排石が期待できるので、鎮痛剤を使いながら経過をみていきます。排石までの期間は、結石の場所、大きさにもよりますが、1週間以内の場合から1カ月以上かかる場合もあります。
結石が大きく、自然排石が難しいと考えられる場合は、外科的治療=手術が必要となります。一般的に、次の2種類の方法が行われます。1つ目は内視鏡を使用する手術です。尿管鏡という細長いカメラを尿道から挿入し、結石を確認しながら、レーザーで砕いていきます。経尿道的尿管砕石術といいます。この手術を行うときには麻酔(全身麻酔または下半身麻酔)が必要となります。
2つ目は体外衝撃波結石破砕術という方法です。この治療法では麻酔は不要です。レントゲンで結石の位置を確認しながら、2000~4000発の衝撃波を当てて、結石を粉々にしていきます。衝撃波による治療は、体への負担が少ないのが利点ですが、1回で破砕できなかった場合、複数回必要となる可能性、経尿道的手術への変更が必要となる可能性もあります。
どちらの手術方法を選択するかは、結石の位置や患者さんの状況(仕事の都合など)などから相談して決めていきます。背中から脇腹に痛みを感じたときは、尿管結石の可能性がありますので泌尿器科を受診してください。
2025年05月30日 苫小牧民報 掲載