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Medical column とまこまい医報

とまこまい医報

「保険診療と保険外診療について」

「保険診療と保険外診療について」

三好 幸宣

(苫小牧市医師会・三好内科胃腸科クリニック)

保険診療とは、健康保険法、療養担当規則(厚生労働省令)、治療指針等の法的な規定に従い、国民が全員加入する医療保険によって行われる医療のことです。保険医療を実施する医療機関は、申請によって厚生労働大臣から保険医療機関の指定を受け、保険医として登録されます。

 保険診療の診療内容は、法的な制限を受け診療費も診察報酬という公定価格となっており、診療の金額を医療機関が独自に変更したり割引いたりすることはできません。

 保険医療機関を受診した患者は、窓口で診療費を支払いますが、これは患者の一部負担金で医療費全体の3割(小学校就学以降70歳未満の場合、70歳以降で現役並みの所得のある方)の窓口負担ですみます。

 各医療機関は、患者の一部負担金を差し引いた金額を各保険者(健康保険組合等)に請求し、各保険者はこれを各医療機関に支払います。

 次に保険外診療ですが、これは自由診療ともいわれ、保険が適用されず、診療費用は患者がすべて(10割)自己負担となり、患者と医療機関との間で個別の契約に従って行われるもので、医療法や医師法による規定に従わなくてはなりませんが、診療内容や費用に法的な制限はありません。

 例えば、保険で認められていない治療法(未認可の治療薬など)や、要医療状態以外に対する医療行為(通常の歯列矯正や美容整形など)では保険は利用できません。

 混合治療は、患者が受ける疾患に対する一連の診療行為のなかで、保険診療と自由診療を混在させる診療(混合診療)を行うことで、日本では現在、原則として認められていません。

 しかし、例えば慢性疾患の治療で通院した時に(保険診療での通院)、同時にインフルエンザワクチンの接種(保険適用外の医療で自由診療となる)を行うなど、現在行われている保険診療の内容と関係のない自由診療を同時に行うことは認められています。

 他に認められている混合診療には、先進医療があり、高度な医療技術に関する費用は患者が全額負担し、入院基本料等は「保険外併用療養費」として医療保険で給付される。

 又、差額ベッド(入院時の個室代)も認められています。

 自由診療も混合診療も資力のある人とそうでない人との間で不公平が生じますし、現在保険外の診療も、安全性、有効性が客観的に証明され、保険診療が認められることを望みます。

2010年04月06日 苫小牧民報 掲載

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