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Medical column とまこまい医報

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子どもは風邪ひきの子

子どもは風邪ひきの子

藤林 伸助

(苫小牧市医師会・とまこまいこどもクリニック)

どうして子どもってこんなに風邪ばっかりひくのって思ったことはありませんか?やっと治ったと思ったら、また風邪ひいちゃった。いつになったら完全に治るの? とくに保育園や幼稚園などに入って集団生活をしている子どもたちは次から次へと風邪をひきます。風邪をひいていないときの方が少ないくらいですね。子どもって風の子じゃなかったの? はい、「子どもは風邪ひきの子」なのです。大人はそんなにしょっちゅう風邪はひかないですよね。それは子どもの時にたくさん風邪をひいて風邪に対する免疫(抵抗力)の貯金ができているからなのです。

 風邪の原因のほとんどはウィルスです。同じような症状にみえても、それぞれ違うウィルスが原因になっているはずです。人間に風邪の症状をおこすウィルスは200~300種類あるといわれています。そしてほとんどのウィルスに対して抗生物質は効きません。ですから1回風邪をひくたびに1種類のウィルスに対する免疫ができるとしても、すべてのウィルスに対して免疫ができるまでにはかなりの回数風邪をひかなければならない計算になります。

 赤ちゃんは、お母さんのおなかの中で「へその緒」を通して、お母さんの持っている免疫を貯金としてもらって生まれてきます。ですから、生まれてからしばらくの間赤ちゃんはあまり風邪をひきません。でもこのお母さんからもらった貯金は半年くらいで使い果たしてしまいスッカラカン。あとは自分で風邪をひきながら自分の免疫の貯金をしていかなければなりません。1回風邪をひくたびに、またひとつ免疫の貯金が増えて丈夫になったと考えてみてください。ですから軽い風邪なら何度でもひいてください。

 ただ風邪に似た症状の悪い病気があることも事実です。私たち小児科医が子どもたちに聴診器を当てたり、口の中を診たり、時々血液の検査をするのは風邪以外の悪い病気がないかを確認するためです。 また最近はワクチンによって悪い病気を予防することや軽く済ませることができるようになってきました。とくに子どもの髄膜炎を予防するヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンは私たち小児科医が待ち望んでいたワクチンです。ぜひ早めの接種をお勧めします。また従来からあるワクチンもすべて重要です。かかりつけ医と相談して忘れずに接種しましょう。

 

「子どもは風邪ひきの子」 子どものそんな頃がなつかしく思い出される日がすぐ来ますよ。

2011年01月25日 苫小牧民報 掲載

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